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人生に責任を持つということ

 いつも言うことですが、人は環境から影響を受けてその行動が形成されていきます。「環境は関係ない。自分次第だ」という人は、その考え方すらが、環境から影響されて形成されたことを知らないだけです。
 しかし、前回お話ししたのは、それでも、その自分の人生を受け入れ、責任を持つことが大切だ、ということでした。
 ある人から、なぜそんな回りくどい言い方をするのかと言われました。自分のことに責任を持てるなら、自分の人生は自分次第だと言えばいいではないか、と。
 なるほど、それも一理あるのですが、ぼくがこの回りくどい言い方をするのには、二つの理由があるのです。今回はそれをお話ししたいと思います。
 一つは、自分のせいでないものに責任を持とうとするところに、責任の本質があるからです。歴史的偉人たちは、自分のせいではない理不尽な世の中において、その共同体の代表として責任を取ろうとした人たちです。自分が生み出した問題ならば自業自得というものでしょうが、責任ある人生は、そんなちっぽけなものではないのです。
 もう一つは、自分の行動は自分次第だと思っている人よりも、自分の行動は環境から影響を受けていると正しく認識している人の方が、より自分を上手にコントロールできるからです。自分の悪い行動を直すうえで大切なのはその行動がどうして起こるのかを認識し分析できるからなのです。
 つまり、自分の人生に責任を持つというのは、口で言うほど簡単ではない、とても面倒くさいことなのです。これは簡単に「自己責任」を言う人たちとは全く違う考えなのです。
 自己責任発想の人は、他者に対して優しさを示しません。また、自分次第主義の人は、自分が自分の思い通りにいかないと知ると、簡単に他者のせいにしようとします。それでは、幸せな人生はやってこないでしょう。
 周りの環境も、自分自身も、自分の力ではすぐには変えられません。でも、その状況でさえ、自分の責任として受け入れ、それを知ろうとし、より良く変えようとするところに、人間の偉大さがあるのです。
 確かに、法的には君のせいではない。でも、それを自分のせいにできる人生こそ、自分で創りあげる人生と言えるでしょう。
 君はどう生きますか。(S)

学習力創造アカデミー 学創(GAKUSO)