今、君たちの「教育を受ける権利」という憲法上の権利が取り上げられるほどの大変なことが起こっています。未知のウィルスですからそれほどの対策の必要があるにしても、この政策で一番の被害を受けるのが君たちであることには変わりありません。
長期休暇が家庭間の学力格差を増やすという米ジョンズ・ホプキンス大学の研究があります。上流家庭、中流家庭、下流家庭では、長期休暇中に学ぶ量に大きな差が出るというのです。そもそも教育の格差を埋めるのが公教育の重要な役割ですが、事情はともかく、いまそれが失われているわけです。
ぼくはこの仕事をしていて、良い大学に行く人と、希望しているのに良い大学に受からない人を観察してきました。どちらも、中学校くらいまでは成績が良い人が多い。でも、高校くらいで差が広がっていくのです。
一番の大きな違いは何か。放っておかれた時に与えられたもの以上の勉強をするかどうかです。いや、もっと言えば、勉強が生活のなかで当たり前になっているかどうかです。
小さい頃から熱心な親御さんに教育を与えられてきた人たちは、中学くらいまでは良い成績を取ります。でも、やらされるのが基本ですから、自分から勉強する行動が育ちにくい。その結果、高校くらいで伸び悩むということがよくあります。
ぼくの見てきた良い大学に行く人は、勉強が生活の「地」の部分になっている人です。「勉強しよう」とは思わない人です。勉強しているのが普通ですから、「○○があるからいったん勉強を止めよう」という人なのです。カエルはいつも座っていて、たまにピョンと跳びます。座っている状態が勉強状態の人が希望する大学へ行ける人なのです。
まず、このことを理解してください。そして、もしそういう人になりたいなら、この一ヵ月という期間はチャンスです。自分で決めて動ける時間であり、そのうえ、一ヵ月の修行は習慣化につながるからです。学校という「強制」が無いからこそ、自分の力で習慣化させられるチャンスなのです。
上流家庭と下流家庭の違いは、こうした情報を与えてもらえるかどうかも大きいのです。君たちは、ぜひ上流の振る舞いを身につけてください。勉強が生活の中心になれば、それが普通になります。そうすれば、行きたい大学に行けるようになります。
君たちは、この危機の時を、どう生きますか。(S)