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理解の方へ

 2年目の大学入試共通テストが実施されました。大方の予想通り「難化」しました。特に数学や生物基礎などでは、問題文を読み解いたうえで、基本的な知識をどのように応用するかが問われ、大きく平均点を下げました。
 これは「旧来型」の勉強をしてきた人たちにはキツかっただろうと思います。ここで言う「旧来型」の勉強というのは、「よく出る」ところに重点を置いた参考書や問題集で「効率よく」勉強する方法です。はっきり言えば、教科書を満遍なく理解することよりも、点数さえ取れればよいという発想での勉強です。
 点数さえ取れればよいという発想は、普段の勉強に大きく影響します。例えば、教科書の本文の記述内容が難しくて理解できていなくても、そこの設問を解き、解答を見て、「解き方」がわかったからいいや、といって、理解の無いのをそのままに進んでしまう。問題は解けるけれど、どうしてそう解くのかは理解していない。先にどんどん進むのが良い、という愚かな考えを撒き散らすような塾の存在と相俟って、こういう悪癖が助長されていきます。
 その結果、今回の共通テストの数学のような問い方になった途端に全く対応できなくなってしまうわけです。
 そう、共通テストは「難しいこと」の暗記よりも、基礎の包括的理解や読解力を重視する方向へシフトしています。いわゆる「受験対策」をしてきた学校や予備校は、やり方を改めなければならなくなるでしょう。
 でも(この「でも」はとても大切)、実は昔から、本当にトップレベルの大学には、そういう「旧来型」の勉強では太刀打ちできなかったのです。例えば、東大に余裕で合格した人ほど、教科書を大切にしなさい、と必ず言います。ちゃんと理解することこそが、高みに登る一番の道なのです。
 そうして考えてみると、「よく出る」ところ中心に「効率よく」教えていた塾や予備校というのは、そもそも実力のない人たちに、付け焼き刃を与えて、そのうち何人かは、「運よく」合格させるという経営戦略を採っていたと言えます。だってね、本当にトップを目指すのなんて全体の5%もいないのに対して、ちゃんとやっていない怠け者たちはいっぱいいて、商売としてはこっちをお客にした方が良いですからね。そして、その層をお客にするのは、実力層をお客にするよりも、ずっと楽なんです。「よく出る」ところを「暗記」させて、「勉強した気」にさせればいいのですから。これは、教える側としては、しっかり理解させるよりも、ずっと楽なことです。
 暗記が勉強だと勘違いしている人たちには、これからの時代はキツいだろうと思います。新井紀子さんの指摘を待つまでもなく、暗記の勉強をしてきた人の仕事はAIに取られやすい。でも、理解力や読解力は、これからもずっと生きる力です。
 君たちは、どのような「勉強」をしますか。(S)

学習力創造アカデミー 学創(GAKUSO)