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稀勢の里関と鳴門部屋

 稀勢の里関が横綱に昇進しました。昇進決定後の千秋楽、横綱白鵬に勝った後のインタヴューで語った、「我慢して、腐らずやってきて本当によかった」との言葉には、見えない苦労と努力、それゆえの喜びがにじみ出ていました。入幕後、つらく長い時間のかかったことだけに喜びも一入だったのでしょう。
 稀勢の里関は、中学卒業後角界へ進むにあたって、最も稽古が厳しいことで有名な鳴門部屋を選びます。なるべく楽に強くなれる部屋など選ばず(そんな部屋があるとも思いませんが)、強くなるために最も厳しい稽古を与えてくれる部屋を選んだのです。
 さて、その鳴門部屋の故鳴門親方が弟子たちによく語っていた言葉というのが、テレビ番組で紹介されていました。
 ・「孤独になれ」(他の力士となれ合うな)
 ・「力士である前に立派な社会人であれ」
 ・「相撲は勝つことだけがすべてではない」
 ・「上の者は、下の者を育てる思いやりを持て」
 私はテレビを見ながら、思わずうなってしまいました。これらの言葉が、勉強の本当にできる優秀な生徒の特長にぴったりと合致していたからです。
 ある程度の成績を取る子はたくさんいます。勝つことだけを考えていたり、自分のことだけを考えていたりする子でも、ある程度の成績は取ることができます。しかし、この子は一流だなと思える子たちは総じて、自分の結果に言い訳せず責任を負う気概があり、礼節に優れ、フェアな心を持ち、寛容と思いやりを持っているのです。そしてそういう子たちは、一流大学に進学するだけでなく、そこでもトップの成績を取り、学者としても、社会人としても大成しています。彼らは成績の良し悪しを超えて、人間として成長しているのです。
 稀勢の里関は、故鳴門親方の指導の下、横綱にふさわしい力量と人間性を身につけたのだと思います。それが「我慢して、腐らず」の言葉にも表れているでしょう。素晴らしい教育だと思います。
 でも何より、彼が最初に、簡単で楽な道よりも、厳しく険しい道を選んだという事実こそが、彼の人生の成功を決定づけていたのかもしれません。長い苦難の道のりではありましたが、彼は最初から一流だったと言えるのかもしれません。
新横綱の活躍を期待したいと思います。(S)

学習力創造アカデミー 学創(GAKUSO)