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QUAE SIT SAPIENTIA DISCE LEGENDO

 題に掲げたのは「知恵の何たるかを読むことによって学べ」という意味のラテン語です。古代ローマの執政官であったマルクス・ポルキウス・カト・ケンソリウス(大カトー)の言葉です。これはぼくの母校の図書館の入口に掲げられています。
 ぼくの大学生活は人生で最もすばらしい時の一つでした。深遠なる新しい知の世界。その世界を垣間見せてくれる恩師たち。それは本当にワクワクする体験でした。
 講義で新しい人名に出会えば、図書館に行き、その人の著作を紐解いてみる。難解な文と格闘しながら30分かけてやっと1ページ読み進める。「わかる」ということと真摯に向き合う体験だったと思います。そこには確かに価値あるものがありました。
 ぼくは小学高学年から中学生の間ほとんど読書ということをしませんでした。しかし高校に入り、ある種強制的にいろんなことを考えなければならない状況が現れました。日々アルバイトをしたり勉強したり忙しくするなかで、読書が心を落ち着ける唯一の思索の時となりました。大切な孤独の時間でした。
 まず語り合ったのは遠藤周作や夏目漱石でした。そして、アメリカの現代文学へ。ポール・オースターやチャールズ・ブコウスキーは翻訳では飽き足らず、原書でも読みました。それから村上春樹も。どの作家の作品も手に取れるものの多くを読んだと思います。凡百の大人たちの言葉には無い耳を傾けるに値する何かがそこにはありました。
 その経験がぼくに「意志する」ということの本当の意味を与えてくれました。それは、何かを漠然と望むのではなく、自らの責任として引き受け覚悟を持って臨むことなのだと教えてくれました。ある種の自立の儀式でした。
 ・・・つまり、なんというか、ぼくにとって読むというのは大切なことなのです。大カトーの考えるほどの深遠なる理解は無いにしても、ぼくなりに大切な実践なのです。
 そのようなわけで学創では読書を大切にしています。今回も興味深い本を選びました。
 小学作文系ではジュール・ベルヌの『十五少年漂流記』。中学論理系では平田オリザ著『名著入門 日本近代文学50選』。高校論理系では山崎良兵著『天才読書 世界一の富を築いたマスク、ベゾス、ゲイツが選ぶ100冊』。
 どれもさらなる次の読書につながることを願って選びました。そしてどれもが、読書こそが「知恵の何たるか」を学ぶ王道であると伝えてくれるものだと思います。
 一緒に知恵の何たるかを学びましょう。競争です。(S)

学習力創造アカデミー 学創(GAKUSO)