口では大層なことを言うのに、行動が伴わない。そんな人たちがいます。
これは行動主義心理学の観点からすれば、説明が簡単です。口で言うことと、そのように振る舞うことは、全く別の行動だからです。
できる指導者は振る舞いをよく観察しています。そして、その振る舞いを評価します。一方、下手くそな指導者は言動を評価します。例えば、「頑張る」と言ったことを褒めたりしてしまうのです。
すると、本人はこの「頑張る」と「言うこと」をたくさんするようになります(行動主義心理学では「強化」と言います)。しかし、先ほど述べたように、「言うこと」と実際に「やること」はそもそも別の行動ですから、いくら口で言ったって、実際の行動は何ら変わらないのです。
これは本人のせいではなく、そうやって間違えて褒めたり評価したりする大人のせいなのです。
行動が伴わないのに、口ではそうした精神論を吐くようになるとどうなるか。まず、その原因の大人がイライラし出します。そして、本人も自分を責めるようになります。「やらなきゃいけない」と思うことがひたすらプレッシャーになるのです。これは不幸でしかありません。
行動を習慣化するうえで大切なのは、口先で目標を掲げることでも、計画を立てることでもありません。「いま、ここ」に集中することです。「いま、ここ」に集中できれば、楽しくなります。楽しいから集中するのではなく、集中できるから楽しいのです。
では、どうすれば「いま、ここ」に集中できるのでしょう。簡単です。義務感や不安感を払拭すればいいのです。要らない思いこみを排除すればいいのです。義務感と不安感は、集中するうえで最大の敵です。
勉強が習慣化した人というのは、「いま、ここ」に集中し、楽しさを感じ、結果として継続できた人なのです。ゲームが習慣化している人はわかりますよね。
「次こそはやります」「必ず取り返します」といった言葉を吐く生徒で、伸びた生徒をぼくは見たことがありません。「次」や「将来」のことを考えずに、まずは「いま、ここ」を楽しむのが大切です。
歴史をみても、勉強は遊びと兄弟です。何かの役に立つなどと考えずに、それを楽しむ。そういう好奇心が発展させてきたものです。
そこまでいければ、初めて「目標」と「計画」が役に立つのですが、これはまたのお話にします。
今日、君は「いま、ここ」をどう生きますか?(S)