今回は「頭は使うから良くなる」という話をしたいと思います。
当たり前だと思いましたか?
私は多くの子どもたちを見てきましたが、このことが「当たり前」になっているとは思えません。
たとえば、何らかの出張授業で学創生以外の中学生たちに授業をしにいくと、終わったあとに「久しぶりに頭を使いました」とよく言われます。どういうことでしょう? 毎日学校に通っているはずなのに。つまり、学校では頭を使っていないというわけですか?
また、頭を使って理解することが大切なのに、簡単な解き方や勉強法をすぐに教わりたがったり、人のまとめたノートを借りて暗記したりする子がいます。その子は実際のところ何を求めているのでしょう? 「頭を使わずに簡単に点が取りたい」ということですか? 誰のせいでそんな馬鹿げた考えを持つ子になってしまったのでしょう?
頭は使うから良くなります。
ある事柄を経験すると、脳回路内の神経細胞同士のつながりであるシナプス結合の強さが変化することが知られています。
頭を使って授業に参加するのと、頭を使わないでぼーっと先生の話を聞いているのとでは、脳内回路の変化に差が出るのは当然でしょう。
そういう日々の積み重ねを無視して、点数だけを簡単に上げたいという子が生まれているとすれば、それこそ「教育の失敗」だと思えてなりません。
教育は将来自立して生きていける子を育てるためにあります。生きていくうえでの判断力は、頭を使って考え、実際に挑戦して、幾度か失敗を経験することでしか養えないでしょう。この教育の本旨とも言うべき肝の部分をなぜ無視してしまう子がいるのでしょう?
AI技術が進展していくこれからの社会が求めているのは、点数が取れた人かどうかではなく、頭が使える人かどうかです。そして、この頭を使うという行動は、できる人はどんどんできるようになり、できない人との格差が広がっていくものなのです。
頭を使いましょう。せっかく生きているのだから、自分の脳や身体を積極的に使ってバージョンアップさせていきましょう。大切なのは人に評価される点数ではありません。あなたの頭が実際に良くなっているかどうかなのです。
君たちはどう生きますか?(S)