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私は一万種類のキックを一回ずつ練習した人を恐れないが、 一つのキックを一万回練習した人を恐れる(ブルース・リー) ――学習における「技」――

 受験も大詰めですね。この時期になると、書店には「一週間で完全理解」「一週間で逆転」などと銘打った問題集が並びます。こういう本に手を出す人たちの心情はどのようなものでしょう。考えればわかると思いますが、今までろくに勉強してこなかったせいで「間に合っていない」という気持ちからなのです。しかし、こうした本で本当に完全理解や逆転が可能なら、入試って本当に簡単なものだということになりますよね。
 かつてのある受験直前期、ある高3生の塾生と一緒に書店を散歩したときに、そうした本を見つけました。私が「こんな本に手を出して受かると思っているのかね」と言った後の、彼の答えもおもしろいものでした。「一週間って。この厚さなら1日でしょう」と言ったのです。
 自分の勉強をしっかりしてきた者にとっては、勉強をしてこなかった人が一週間かかると考える厚さの本は、1日で終わるものなのです。出版社が弱みにつけ込んで出版したこうした本を買っても、おそらく、勉強をやって来なかった人にはどうしようもありません。それだけ実力の差がついているのです。
 さて、今回は学習における「技」のお話です。勉強のやり方の究極の奥義とも言える技をお伝えしようと思います。そして、それは誰にでもできるものです。ただし、この技をしっかり使いこなすには、心=マインドセットが大切です。「同じ事を他の人よりも深く理解する」という気持ちがなくてはなりません。
 その技とは、「くり返し」です。究極の奥義です。誰でもすぐにできるものです。
 なぜ、一流のプロ野球選手やプロゴルファーや剣道の達人は、どれだけ上手になっても、毎日素振りをくり返すのでしょうか。あるイギリスの有名な大学教授は、ディケンズの著作を読むことを日課にしていたと言いますが、それはなぜでしょうか。
 毎日繰り返すことには偉大な達成を可能にするパワーがあります。簡単な方法を求める暇があるくらいなら、できたと思ったことを愚直に繰り返しましょう。教科書を繰り返し読みましょう。他の人とは一味違ったレベルまで技を究めましょう。それこそが学習の究極の「技」なのです。
 皆さんは、ブルース・リーの言葉をどのように受け取りますか。(S)

学習力創造アカデミー 学創(GAKUSO)