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見たくない現実をどう見るか

 見たくない現実というものがあります。
 ある私立中学校でのこと。「テストを返してほしくない」という生徒がいたそうです。テストの結果という現実を見たくないわけです。それだけではありません。その生徒は、自分は私立に通っているから、公立の子たちより頭がいいと信じている。だから、公立から良い大学に行った子の話や、公立で努力している子の話も聞きたがらなかったそうです。
 テストの点が悪いことは薄々感じている。中学受験をしなかった人たちの中には自分より優れた人たちがたくさんいることも知っている。でも、それをはっきりとはわかりたくないわけです。
 どうしてこのようなことが起こるのでしょうか?
 逆の生徒のことを考えてみましょう。その生徒は、結果を虚心坦懐に受け取れます。テストの結果が悪ければ、やり方を変えてみようと思える。自分より優れている人のことを聞けば、真似てみようと思える。この生徒には、見たくない現実というものがありません。現実をただ見て、それに対してただ反応するわけです。
 はじめの生徒は、なぜ「ただ」反応できなくなってしまったのでしょうか。
 その答えはその生徒が語ってくれていたそうです。テストを返してほしくないのはなぜかと尋ねたら、お母さんに怒られるからだと言うのです。また、公立で頑張っている生徒の話を聞きたくないのは、こんなにダメ出しをされている自分でも、公立の生徒よりはまだマシなんだと自分に言い聞かせて、プライドを保ちたかったからのようです。
 つまり、その生徒のお母さんからの人格否定(褒めることも結果で判断しているなら人格否定です)がすべての根本にあったわけです。
 なかなか不幸な例ですが、ぼくたちには、多かれ少なかれ、現実を見たくないと思う時があります。そんな時、どうしますか?
 放っておいて無かったことにしますか? それとも、大したことじゃないと思って、早くに見て対処しますか?
 この二つの行動なら、どちらが現実を良くすると思いますか? 今、恐怖から逃げる行動は、自分の将来にとってどういう意味を持つでしょう?
 テストの失敗なんてちっぽけなものです。いや、全ての目の前の問題なんて、君の人生に比べたらちっぽけなものです。君の人生を台無しにしてしまうような問題なんてありません。勇気を持って現実を見て、対処し、結果を次に生かしましょう。そして、一番大切なことですが、自分が本当のところ何に恐れているのかを考えてみましょう。
 見るのが怖かったり、選択するのが怖かったりするのは、かつて見た時、選択した時に、嫌な事が起こったことがあるからです。それに縛られて生きますか? それとも新しい自分を勝ち取りますか?
 君たちの人生は、失敗も成功も含めて君たちのものです。君たちは、目の前の現実をどう見ますか?(S)

学習力創造アカデミー 学創(GAKUSO)