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数字を見たら負け

 これはもちろん比喩的表現です。手で目を覆って数字を見ないようにしろ、などという意味ではありません。本当に言いたいことは「軽くデータを見て判断するな。データの裏側にある本質を見抜け」ということです。「本当に大切なものは、目には見えないんだよ」という『星の王子さま』の言葉を思い出しませんか。局所的に見て対応すると、時に全体を崩壊させます。まさに、角を矯めて牛を殺すことになります。
 イソップ童話に『ガチョウと黄金の卵』という話があります。1日1個の黄金の卵を産むガチョウによって飼い主は金持ちになるのですが、そのうち1日1個しか黄金の卵を産まないガチョウに物足りなくなって、ガチョウの腹には金塊が詰まっていると思い込み、ガチョウの腹を裂いて殺してしまう話です。初めて聞いた時に、なんて愚かな飼い主だろうと思いました。確かに、お金になるのは黄金の卵ですが、本当に大切なのは、それを産み出すガチョウの方ですよね。
 しかし、多くの人が似たようなことをしていることに気づくようになりました。結果を求めて、それを産み出すものの重要性を忘れてしまう。たとえば、点数が取れれば良いと思って、とにかく一夜漬けで暗記する。確かに点数は取れたけど、理解はしていない。そして、入試がやってくる。理解していないから勉強が捗らない。そこで、無理矢理にまた暗記する。とてもとても受かるレベルじゃなかったけど、暗記した箇所がたまたま出題されて、運よく受かった。だけれど、次の関門がまたやってくる。今度はそれに対応できない。
 数字を見て、数字を伸ばそうとすれば、意識がその局所に行って、全体感のある勉強ができなくなります。大切なのは、中長期的に見てどのようにやっていくのが大切か考えることです。そして、信じて実行することです。このような行動にしか結果はついてきません。
 でも、君によく言うことだけれど、実は結果は後に引き継げません。引き継げるのはしっかり身につけた実力の方です。逆に、結果が良くなくたって、しっかり実力を身につけていれば、人生の次の関門で必ず取り返せます。日本はもう成熟国家で、学歴で人を騙せる時代じゃなくなっています。さらに、最近のアメリカの研究は、入試で数点差で受かった人と落ちた人の、次の関門での合否、そして生涯年収には何の違いもない、という事実を示しています。
 大切なのは、結果ではありません。今の君の努力であり姿勢です。そして、本当にそのことを理解した人が、いずれ人がうらやむ結果を出すのです。
 君はどう生きますか?(S)

学習力創造アカデミー 学創(GAKUSO)