「楽」という字があります。この字は神事で使われた楽器に由来するものです。旧字は「樂」で、「白」の部分が鈴、「⺓」の部分が糸飾りを表します。鈴や糸飾りが付いた「木」製の楽器をかたどっています。
今回はこの「楽」についてお話しします。
君は楽器をやったことがありますか。ピアノでもトランペットでもバイオリンでも、はたまた縦笛でも、どんな楽器も良い音を奏でるには練習が必要です。一生懸命に練習して上達すると「楽しい」。そして、良い音色を聞いていれば「楽な」気持ちになりますね。どちらにしても、良い意味のように思えます。
しかし、君がこの字を考える時には注意が必要です。同じように見えても、「楽しい」と「楽(らく)」には大きな違いがあるからです。
「楽(らく)」な勉強を求める人がいます。勉強は楽な方が良いと思いますか? もしそうだとすると、君は勉強に対して少し残念な見方をしています。いや、勉強に限らず、仕事でも家事でも、「楽な方が良い」と考えているなら、少し残念です。なぜなら、そこには「勉強は嫌なものだ」「仕事は嫌なものだ」「家事は嫌なものだ」という価値観が潜んでいるからです。嫌なものだから「楽(らく)」したくなるのです。
一方、勉強が「楽し」くなる人がいます。君は勉強が楽しいですか? 「楽しい」勉強は、決して「楽な」勉強ではありません。楽しくてたくさんしてしまうものです。勉強だけでなく、仕事でも家事でも、楽しい時にはどんどんやって、どんどん上達します。だからまたもっともっと楽しくなるのです。
楽な勉強は努力と相いれませんが、楽しい勉強は努力と馴染みます。楽な勉強は努力を嫌いますが、楽しい勉強は努力を努力とも思いません。
だから、君が君自身のためにできることは、「楽(らく)」を求めず、「楽し」くなるまでやってみることです。昔、河合隼雄さんという心理学者が「カウンセリングは悩みを取り除くものではなく、悩みを正面から悩むものだ」と語られていました。その謂に倣えば、「塾は勉強を楽にするところではなく、勉強と正面から向き合い楽しむところだ」と言えるでしょう。学創はそういう塾を目指します。
君はどちらの「楽」を選びますか?(S)
