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自分のことは自分にはよくわからないが、自分のことは自分で責任を持てる

「自分のことは自分が一番わかっている」という言葉を聞くことがありますが、そんなことはありません。それなら、相談なんて行為が意味をなさなくなるでしょう。今まで多くの人たちが、自分のことについて「どうすればいいですか」とぼくに尋ねてきたし、これからもそれは続くはずです。
 そうなのです。「自分のこと」は必然的に周りの人間関係(社会)とつながっていて、「自分のこと」が「自分だけ」で完結することなんかないし、「自分のこと」は実はものすごく複雑なわけです。
 それだけではありません。自分の性質でさえ、自分にはよくわからないことがあります。どうしてこれが好きなのか、どうしてこういう時にこう感じるのか、自分にはわからない自分のことがいっぱいあるはずです。
 人の性格の原型は幼少期に形成されます。その時期の自分に対して、君は何ができたでしょう? 少なくとも「今の自分」をつくるのに果たした役割は大きくないはずです。
「親ガチャ」という言葉が流行りました。人生はどの親のもとに生まれてくるかで結構決まってしまうということを表した言葉です。これに対して「甘えたことを言うな。私は不幸な育ちだけど云々・・・結局、自分次第だ」とわかった風なことを言う大人は、自分はできたんだからお前もできなきゃおかしいという、ヘンテコな考えを持った大人です。その人自身が、どうして自分はそのような考えを持てるようになったのか、わかっていないのです。人間は自分のことを自分だけでどうにかすることはできません。
 さて、だけれども、自分のことはよくわからないし、今の自分をつくったのも自分とは言い切れないけれども、それでも、ぼくたちは、自分のことに関して、唯一責任を持つことができる存在です。
 うまく行くかはわからない。でも、責任を持って選択する。それが自分を生きるということです。確かに自分をつくったのは自分ではないかもしれない。でも、そんな自分を受け入れ、より良く活かしていけるのは、君だけなのです。
 教育の目的は、自分に責任を持てるようになることだとぼくは信じています。そして、それができるようになることが、君の幸せにつながると信じています。
 君は自分をどう生かしますか。(S)

学習力創造アカデミー 学創(GAKUSO)