情けは人の為ならずーこの諺をご存知でしょうか。人を思いやる気持ちは、回り回って自分のためになるんだよ、という意味です。
この諺は多くの人に意味を誤解されているものとしても有名です。情けを人にかけると、その人の為にならない、なんて意味だと勘違いしている人もいます。
でも、私は正しい意味の方を(もちろん)お薦めします。間違った意味の方の考え方なんて持たない方が絶対にお得です。今日はそんなお話をします。
私は、他の人に気を使いなさい、とよく言います。他の人に気を使える人は、社会で活躍しやすいし、良い学歴を取りやすいし、良い人生を過ごしやすいと、経験的にも感じているからです。
では、どうして、他の人に気を使える人は、そうでない人よりも人生が良いものになると言えるのでしょう。
まず気付く理由は、周りの人に恵まれるから、というものでしょう。他の人に気を使える人は、他の人から愛されます。いろんな場面で助けてもらえ、良い仲間たちに恵まれて人生も豊かになるでしょう。これはわかりやすい理由ですし、これで十分とも言えます。
でももう一つの理由を付け加えさせてください。そしてこのもう一つの理由の方は、情けは人の為ならずの諺の意味が誤解されやすいこととも関連しています。
人に気を使いなさいと私が「わざわざ」言うのはなぜかと言えば、人はなかなか自然とは他人を思いやったりしないからです。他の人のことを考えるのは「損」だとさえ考えている人がいるのです。いや、実際そうなのです。他人のことを思いやって行動することは、ちょっと「損」なのです。今の自分の時間を犠牲にしないといけない。だから、情けは人の為ならずの諺を間違って解釈する人がいるんだと私は思っています。
でも、実は、そっちの方が「大損」です。
他者を気遣うことは、確かに「損」です。でも、この発想ができる人は、人生で成功します。というのも、人生の成功の鍵を握る「努力」というものは、「今の自分」は「損」をすることだからです。「将来の自分」のために、やりたくないことをするーこれが努力の正体だからです。
他者に気を使える人は、将来の自分にも気を使える人です。今の自分の小さな「損」を引き受けられる人です。つまり、努力できる人です。そのような認知行動が身についている人は幸せだとは思いませんか。
皆さんは、今、目の前の小さな「損」とどう向き合いますか。(S)