題名に掲げた言葉は、アメリカ合衆国第26代大統領のセオドア・ルーズベルトのものです。訳せば、こんな感じでしょうか。
「今いる場所で、今あるものを使って、今できることを行いなさい」
成功・失敗に関して、ぼくの経験から言えることが一つあります。
これがあったら得だ、とか、あれが無いからうまくいかない、という発想が出てくる時は、多くの場合失敗するということです。
外側に何かを求める言動は、自分に対してお前はできないというメッセージを送っているのと同じです。だから、こういう状態の時は、どんどん自信が無くなり、どんどん間違った努力をするようになります。自分を信じられていない状態では、力が出せるはずがないのです。
数々の苦難を乗り越えたセオドア・ルーズベルトは、掲題の言葉で成功するための秘訣を教えてくれているのです。
目の前のことを一生懸命やりなさい、ということです。
簡単にうまくいく方法を探そうとするのではなく、今の自分ができることをしっかりやる。これだけが、成功の秘訣なのです。
帝国ホテルで料理人としてはじめて取締役にまでなった村上信夫さんという方がいます。
村上さんは、小学5年生の時にご両親を亡くし、13歳の時に生きていくためにコックになります。いくつかの料理店で修行して、18歳の時に憧れの帝国ホテルに見習いとして入社します。配属されたのは鍋の洗い場です。
料理の腕を磨けると期待して入社しましたが、鍋洗いしかできない日々が続きます。また当時は弟子が実力を持てば自分の仕事が奪われる時代ですから、誰も料理など教えてくれません。技を盗むしかありませんが、回ってくる鍋には洗剤が掛けられ、先輩たちは味見されないようにしていたといいます。
そんな日々に、同じような志を抱いていた同僚は次々と辞めていきます。しかし、村上さんは「それなら、日本一の鍋磨きになろう」と決心するのです。
当時の銅鍋はすぐに黒ずむものでした。それを休憩時間も返上して、ひたすらピカピカに磨き上げたそうです。そのことに、ある日親方シェフが気づくわけです。それから、洗剤のかかっていない鍋が回ってきたり、「鍋屋、手伝え」と言って、技を見せてくれるようになっていったのです。
手取り足取り教えられても上達するかもしれません。でも、本当に時代を切り拓く人たちは、困難な状況の中で、目の前のことを一生懸命やって、道を切り拓いたのです。だから、人の上に立つ人になったのです。
君はどう生きますか?(S)