勉強の仕方を教えてほしいと言われることがあります。
塾の先生というのは自己顕示欲満載の人種ですから、駆け出しであればあるほど、ユニークな暗記の仕方や自分が編み出した勉強法を教えたがるものです。そして、中学校までの勉強程度であれば、それを利用すれば確かに簡単に点が取れたりします。
しかし、そんな「簡単な」やり方は、副作用の方が大きいと言えます。簡単に点が取れるということは、裏を返せば、自分ではなんの工夫もしないということですから、これでは肝心の学習力が向上しないのです。
小さい頃から手取り足取り「お勉強」を教わっていると、高校くらいから勉強についていけなくなりがちです。そして、もっとも大きな問題ですが、人生を工夫しながら生き抜く力が育っていかなければ、社会に出た時にどうするのでしょう。心配になってしまいます。
ちょっと横道に逸れてしまいました。最初の問いに戻りましょう。勉強の仕方を教えてほしいという人は、本当に勉強の仕方を知らないのでしょうか。私はそういう生徒には「何をしたらいいと思う?」と聞き返します。驚くべきことに、半数くらいの生徒は正解を答えるのです。「教科書を読むとかですか」と。正解。
でも、面白いことに、私に聞いたくせに、私の答えを信じないのです。「え、そんなんでいいんですか。嘘だぁ」と。やったこともないくせに。
残り半数は間違った答えを言います。「ワークをやる!」大不正解!
誰が、こんな勉強を教えたのでしょう。問題集は理解した分野を確認するためにやるものだったはずなのに、理解も何もないままに、問題集に手を出して、わからないだらけになる。
世の中にはこういう酷い勉強が跋扈しています。すべては「点さえ取れればいい」という安易な発想から来ているのです。でも、考えれば当然ですが、理解しないで点を取ることに意味などないでしょう?
偏差値60というのは上位約16%、偏差値70は上位約2%です。特別なやり方でここに入ろうとするのではなく、正攻法でここに入ることに意味があります。社会で評価されるのは、そういう人なのです。
教科書を理解できるまで何度も読みましょう。自分でノートにまとめてみましょう。間違えても、ワークを解いて、勉強した気になったりしないように。
君は今、目の前の勉強にどう取り組みますか。(S)