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効果的な学習法とそれを邪魔する価値観

 認知心理学では効果的な学習法について多くの実験がなされてきました。『認知心理学者が教える最適の学習法』(東京書籍)によるとはっきりと効果的な学習方法は6つあります。
「分散学習」「交互配置」「精緻化」「具体化」「二重符号化」「検索練習」です。
 同書によるとなかでも認知心理学で最も支持されている2つが「分散学習」と「検索練習」ということですので、ここではこの2つに限って説明したいと思います。(他の4つも学創の仕組みにはしっかり組み込まれていますので安心してください。)
 分散学習は、一気に連続して勉強する(詰め込み学習)のではなく複数回に分けて時間を空けて学ぶ方法です。詰め込み学習よりも分散学習の方が長期的な記憶に残りやすいとわかっています。
 検索練習は、ただインプットを繰り返すのではなく時々学んだことを思い起こす方法です。検索練習を組み込むと長期的な記憶に残りやすいとわかっています。
 さて、長い間、多くの実験に耐え抜き効果が確認され続けているこれらの学習方法ですが、有名であるにもかかわらずなかなか教育現場に応用されていません。同書は教師がこうした学問の成果を知らないからだと言っていますが、日本においてはもっと深刻な原因があると僕は思っています。というのも、僕はこうした学習方法を伝え続けているし、それで成績が向上していく生徒もたくさんいるのだけど、毎年必ず僕の言った通りには「できない」子たちがいるのを見てきたからです。つまり、教師が知っていても、もっと他の原因が邪魔をしているのです。
 この原因を知る鍵があります。それは詰め込み学習の利点です。先ほど説明したように詰め込み学習では長期的な記憶に残りにくい。だけど、直後のテストに関しては分散学習よりも高得点が取れるのです。だから、目先の点数が欲しい人は詰め込み学習に頼りがちになるのです。
 教育の目的をちょっと考えれば、これは破滅的な方法だとわかるでしょう? 長期記憶に残らなければ君たちの目標とする入試に合格できないし、将来の可能性がどんどん潰れていきます。それなのになぜかこの方法から離れられない人たちがいるのです。
 僕の伝える効果的な学習方法を頭ではわかっていても実践できないのは、目先の点数が大切だという誤った価値観に囲まれ、目先の点数を求められるプレッシャーにさらされているからなのです。
 教育は本来、将来のためになされているはずなのに、将来のことよりも目先に目が行った価値観のプレッシャーにさらされて、正しい判断ができなくなっているのです。そしてそのプレッシャーが嫌だから、直前までなかなか勉強に手がつけれらなくなっていくという悪循環なのです。
 教育は君たちが自立するためになされています。自由に失敗できる環境でこそ君たちは自分で判断できるようになれるし、自由に失敗できるから自分で工夫し早くから準備できるようになる。僕が多くの生徒たちを観察してきて確信していることです。目先の点数が欲しいというプレッシャーなんか跳ねのけ、自分の将来のことを考えられるようになってください。
 君たちはどう生きますか?(S)

学習力創造アカデミー 学創(GAKUSO)